私も何事も無かったかのように普通にしようと思ったのにそれが無理なようで…
「花莉顔赤いよー?」
休み時間になると前の席に座る京子がにやにやしながら言ってきた。
京子は本当に鋭い。
「な、なんでもないよ…っ」
「本当に?」
「ほ、本当だよ…っ」
必死に誤魔化していたら、京子は小声で
「キスマーク見えてるわよ」
と言う。
その言葉で心臓がドキリとした。
“キスマーク”って。
キスマークって…!!!!!
思い出すのは昨夜のこと。
昨日は、詩優にたくさんキスマークをつけられてそのまま詩優と……。
夜遅くまで起きていたから今日の朝は寝坊して、キスマークを隠すことも忘れていた。
もう遅いけど、私は急いで自分の髪の毛で首元を隠した。
胸元まで長く伸びた髪。首元を隠すのには十分長さはある。
「む、虫に刺されただけだよ…?」
「…まぁいいわ。今度詳しく聞くから」
京子はふふっと笑ってから、ポーチの中からクシを取り出して。
「後ろ向いて」
と言ってきた。



