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チャイムが鳴るのと同時に教室へと駆け込んだ私と詩優。
ぎりぎり遅刻回避。
…間に合ってよかった。
ほっとしながら自分の席へと向かおうとしたら、廊下側の1番前の席に座っている関根さんと目が合って。
「2人ともおはよっ!」
と笑顔で挨拶をしてくれた。
それがなんだかすごく嬉しくて、
「おっ、おはようっ」
私もすぐに挨拶を返す。
「妃芽乃さん、今日は髪巻いてないんだね?」
そう言われて、私は慌てて手ぐしで髪を整えた。
私の髪は今、すごくぼさぼさだから。
寝坊してしまったせいで髪を巻く時間もなく、車の中で手ぐしで整えただけの髪。今日は少し寝癖がついてしまっている。
だからあまり見られるのは恥ずかしい。
「寝坊しちゃって…」
私がそう答えるのと同時に「席に座れー」と担任の先が教室へとやってきた。
「またあとでね」
関根さんはそう笑顔で言って手を振ってくれて。
私も手を振り返して、自分の席へと向かった。



