私が逃げられないように上に覆いかぶさってくる彼。
そして、上から私を見下ろして
「榊には明日返信すれば?『詩優と寝てた』って」
そう言った詩優。
気のせいか、“詩優と”を強く言われたような……。
「つーか、榊と連絡取り合ってんの?」
少しだけ、低い声の彼。
…怒ってるわけではなさそうだけど……、機嫌が少し悪くなった。
「さ、最近は─────────、っ」
答えている途中で彼の顔が近づけてきて。
私の唇は柔らかい唇によって塞がれてしまった。
触れるだけのキス。
私に熱を残してすぐに離れていく。
「答えて、花莉」
自分で私の口を塞いだくせに、急かしてくる彼。
私はドキドキと暴れる心臓を必死でおさえて、口を開いた。
「…さ、最近は連絡してなかったよ。昨日、久しぶりに会ったから私から連絡しようとは思ってたけど……昨日は余裕がなかったから忘れてて。
さっききた冬樹くんからのメールが久しぶりのメール…」



