そこまでして私をここから出したくないんだ…っ
昨日、キス100回って言ったのは詩優なのに…っ!!
「詩優っ!!熱いっ!!出してっ!!」
必死にそう言ってみるが、詩優は
「おやすみ」
と言うだけ。
出してくれる気配がない。
もう一度口を開こうとしたら、布団越しに振動が伝わってきた。
たぶん、というか絶対これは私のスマホ。
私しか寝室にスマホを持ってきていないから。
「詩優っ!!!私のスマホ、今振動した!!!誰かから急用の連絡かもしれない!!!」
“急用”と強調して必死にアピール。
スマホをみたいフリをするのは、布団から出たいから。
詩優はそんな私の魂胆がわかるみたいで、
「メールなら明日でいいだろ。まじの急用の時は電話かかってくると思うから、もう寝ような」
全然動いてくれない。
「詩───────」
彼の名前を呼ぼうとしたその時。
ピルルルルルル
と私のスマホの着信音が鳴った。



