「いやっ!!!やめて!!!誰かっ、誰か助けてっ!!!」




女の子の助けを呼ぶ声。
足を進めるたびに近くなっていく。




その子がどうか、無事でありますように…




そう祈りながら全力疾走。
そして、詩優に手を引っ張られてついた先には…





1人の若い男性が金髪でショートヘアの女の子を押さえつけて、拳を振り上げていた。





詩優は私の手とスーパーの袋を離して、振り上げられた男の拳を掴む。





「なんだてめぇ────────、」





拳を掴まれた男は激怒し、後ろを振り向いた。
が、詩優を見て一気に顔色を悪くする。





…おそらく、この男は詩優のことを知っているんだろう。“雷龍”の総長、夜瀬詩優を。


恐怖から足をガクガクと震わせ、青ざめた顔で詩優を見る男。







「今すぐ立ち去れ」





低い声でそう言い、ぱっと男の手を離す詩優。
男は、すぐに





「すみませんでした!!!!!」





と謝りながら走り去って行った。