ひょこっと横から顔を出したけど、詩優は半歩移動してまた私を背中で隠す。反対側からひょこっと顔を出しても同じように詩優は反対側に半歩移動して私を隠す。
そんなことをしている間に、
「2182円になります」
冬樹くんの声が聞こえてきた。
お金…っ!!
払わなくちゃ!!!
私はお財布の中からお金を取り出して、詩優の後ろから必死に手を伸ばす。
「これでお願いします…!!!」
だけど、その手は詩優によって制されて。
「これでお願いします」
詩優はトレーにお金を置いた。
「やだっ!!私が払うのっ!!神様と約束したのっ!!」
必死に詩優の背中から出ようとしたが、それを許してもらえず…。
これ以上冬樹くんに迷惑をかけるわけにもいかないから諦め
たフリ。
こっそり詩優のズボンのポケットの中にお金を入れておいた。
支払いが終わって、
「ありがとうございました」
と笑顔で言う冬樹くん。
その後は何も話せなかったけど、元気そうで良かった。
夜にメールでもしようかな。
そう思いながら買ったものを袋に入れて、お店を出た私たち。



