詩優はじっと私を見つめて。
他のところに並びに行くのかと思ったら、ムスッとした表情で戻ってきた。
「帰ったらキス100回する」
小さな声でそう呟く彼。
その声は、私の耳に確かに聞こえた。
「!?」
キス100回!?
私は手に持っていたプリンとパン粉を取られて、それを買い物カゴの中へと戻す詩優。
そしてその買い物カゴをカウンターの上へと置いた。
前に並んでいたお客さんのお会計が終わって、次は私たちの番。
「お待たせしました!いらっしゃいま─────────」
冬樹くんが笑顔を向けて、目が合った瞬間目をぱちくりさせる。
「ひ、久しぶり、だね」
さっきまで少しも緊張していなかったのに、いざ話すとなるとなんだか緊張してくる。
話すのがすごく久しぶりだからかな…。
しばらく連絡も取っていなかったし…。



