「こっち並ぼう…っ」
他のところに並ぼうとしていた詩優の腕をぐいっと引っ張る。
詩優は列を変えて並び直してくれたが…。
レジ打ちしている冬樹くんを見て、他のところへ並び直そうとする。
そんな詩優の腕を慌てて掴んで引き止めた。
「ここがいいの…っ!!」
「あっちのほうが空いてる」
詩優はさっき並んでいた方を指さすが、もう人が並んでしまったためどう見ても空いていない。並び直さず冬樹くんの列に並んでいた方が絶対早い。まだ、後ろに誰も並んでいないし。
「空いてないじゃんっ」
「空いてんだろ」
詩優の腕を掴んでいても、力ではすぐに負けてしまいそうだ…。
こうなったら最終手段だ…!!
私は買い物カゴの中からプリンとパン粉だけ取って、詩優の掴んだ腕を離した。
上にあるものしか取れなかったけど、これだけでも持ってたら冬樹くんのところでお会計できる…!!他の食材は取れなかったけど…あとで詩優にお金を払えばいいだけだ。



