世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





雷龍の総長、副総長、幹部が全員揃っているというのに本当に命知らずな男だ。




「…“玄武(げんぶ)”、お前が総長なんだって?」




詩優がゆっくり声を出す。




一瞬、耳を疑った。

だって、今、詩優は確かに…、この目の前の痴漢男に『総長』って言ったから…。




この痴漢男が暴走族の、総長…なの!?
ドキリとしながら男の返答を待つと、




「そうそう。俺が“玄武”の総長、空木 怜央(うつぎ れお)。以後よろしくお願いしまーす」




そう言って、ポケットに手を突っ込んだままだるそうにぺこりと一礼。
すると、




「空木!」




痴漢男の背後から声をかける人物。





その人物は痴漢男とは対照的で、すごく優等生に見える。痴漢男は金髪で制服は着崩しているけど、その人は黒髪で制服を一切気崩していない。





ワイシャツのボタンも1番上まで止めてあって、ブレザーの前ボタンもしっかり止まっている。