世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





「できた!いい子になったよ!!」




詩優に声をかけると、くるりと振り向く彼。
それからスカートを確認すると、




「そんないい子にはこれ返す」




詩優から手渡されたのはさっき没収されたばかりのコーラルピンクのリップ。

そういえば、ついさっき詩優が袖で拭ってリップついちゃったんだよね…




「詩優っ、その袖…」

「あんま目立たねぇから平気だろ?」




…確かに、目立ちはしないけど。
帰ったら洗ってあげよう。




そんなことを密かに思っていたら、「いい子いい子」と頭を撫でてくれる詩優。




その手が温かくて気持ちいい。
ずっと頭を撫でてもらいたいくらい。




でも、今日は学校だから




「学校行こう!詩優!」




そう言って、頭を撫でてくれていた手を取ってぎゅっと握る。




「おう」




詩優もそう返事をして、鞄を持って2人で部屋を出た。