「できた!いい子になったよ!!」
詩優に声をかけると、くるりと振り向く彼。
それからスカートを確認すると、
「そんないい子にはこれ返す」
詩優から手渡されたのはさっき没収されたばかりのコーラルピンクのリップ。
そういえば、ついさっき詩優が袖で拭ってリップついちゃったんだよね…
「詩優っ、その袖…」
「あんま目立たねぇから平気だろ?」
…確かに、目立ちはしないけど。
帰ったら洗ってあげよう。
そんなことを密かに思っていたら、「いい子いい子」と頭を撫でてくれる詩優。
その手が温かくて気持ちいい。
ずっと頭を撫でてもらいたいくらい。
でも、今日は学校だから
「学校行こう!詩優!」
そう言って、頭を撫でてくれていた手を取ってぎゅっと握る。
「おう」
詩優もそう返事をして、鞄を持って2人で部屋を出た。



