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「だめ。可愛すぎ」
部屋から出る5分前、派手すぎないコーラルピンクのリップを唇に塗っていたら、後ろから詩優にそう言われた私。
「…へ?」
くるりと振り向けば、手に持っていたリップを詩優に奪われて。
私の唇は下唇だけ色がついた状態となった。
「そんな可愛すぎたらすぐ誘拐される」
手に持ったリップの蓋も詩優に取られて、蓋を閉じられる。
…朝起きてから髪を巻いて、薄すぎるくらいのナチュラルメイクをして、制服のスカートをいつもより少しだけ短くして。
朝から頑張ったんだけど…詩優を起こした時も、ココアを飲む時も、何も反応してくれなかった。
だから、もしかしたら気づいていないのかも……とか思っていたんだけど……
ちゃんと気づいていてくれたみたいだ。
しかも今、『可愛すぎ』って…
そう言われたのが嬉しくて、気持ち悪いくらいにやけてしまう。



