ぎゅっと強く自分の拳を握っていたら、詩優は抱きしめる腕の力を緩めて、「顔上げて」と言ってきた。
…今、絶対涙で顔がやばいことになってるかも
そんな心配があってなかなか顔を上げないでいたら、
「花莉」
名前を呼ばれて。
目元を手で拭ってから、ゆっくり顔を上げた。
真っ直ぐな目と合わさる視線。
「俺はどんな花莉も好きだけど、無理してる花莉は見たくねぇ。
頼むから…、いつもみたいにいっぱい食っていっぱい可愛い笑顔見せて。
俺からのお願い」
詩優の大きな手が私の頭の上にぽんっと置かれた。
「わ、私……これからもっともっと太るかもしれないよ…?」
「花莉はそんな心配いらねぇと思うけど、そんなに心配ならこれから公園デートとかしていっぱい歩こ。
いっぱい動けば大丈夫だから」
…公園デート。
すごく楽しそう……
た、確かに、食べたら動けばいいんだよね…?
今までは動かなかったから全部お肉になってたけど……
これからは食べたらちゃんと運動をすれば……



