追いかけてきたらどうしよう、
捕まったはどうしよう、
不安でいっぱいだったが……
幸い、追いかけてくる足音は聞こえない。
知らない道を曲がって曲がって、しばらく走ったところで立ち止まり。
後ろを確認しても、やっぱり追ってきていないから……とりあえずひと安心。
「明日葉っ…」
乱れる息を整えながら、明日葉に声をかけると、力が抜けたかのように地面に座り込んでしまった。
私も隣に座ってちらりと顔を覗き込んでみると、下を向いて口を開けたままただ瞬きをするだけ。
まるで、魂が抜けたかのような状態。
さっき、あの人に触られたからだ……
と、とにかくまだ危ないかもしれないから…誰か、誰か呼んだほうが……
私はトートバッグの中のスマホを取り出り出して、連絡先を開こうとしたその時─────────



