「そんなにうちの総長と喧嘩したいの?言っとくけどあんただったらすぐ詩優に殺されるから」
男の胸ぐらを掴んだまま言う明日葉。
「そんなめんどくさいことじゃないんだけどなぁ。族にキョーミあったから、見てみたいんだよね。
だからその…“シユー”?に会わせてほしいんだけど」
男は言い終わったあとに大きく口を開けて、呑気にあくびをひとつ。
明日葉はさっきよりも殺気立っているのに、全然怖がっていない。
っていうか、この男の言い方からして雷龍の総長の顔を知らないんだろう。もちろん幹部のことも、姫のことも。
「はぁ?ふざけてんの?」
「やっぱり姫じゃない貧乳に言っても無駄か」
はぁ、とため息をつく男に、明日葉はもう完全にキレたようで。
胸ぐらを掴んだまま拳を振りあげて殴りかかる
───────────────が、明日葉の拳は男の手に掴まれて止められた。



