世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




今にでも殴ってしまうんじゃないかと思うくらい。

だけど、胸ぐらを掴まれている男は顔色一つ変えずに、気だるそうな目で明日葉を見ているだけ。




…何か、嫌な予感がする。
口を開いて、『もう帰ろう』と言おうとしたら




「雷龍の姫に頼んだほうが早いと思ったけど、貧乳の雷龍ちゃんでも別にいいや。めんどくさいし」




そう呟く男。
その呟きは、離れている私にも聞こえるくらい声。



『雷龍の姫に頼んだほうが早い』
引っかかる言葉。




どういう意味なのか、次の言葉を待っていたら再び男は口を開き。




「俺を雷龍のトップに会わせてほしいんだけど」




と言った。




ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。

…もしかしたら、というかもしかしなくても……
この男は相当危険なんじゃないか。





ただの痴漢とかじゃなくて…
どこかの暴走族の人なのかも……