唇は触れ合うだけですぐに離れて、彼は口角を上げて笑った。



「花莉がキスしてほしそうな顔してたから、つい」



き、キスしてほしそうな顔!?
私、そんな顔してなかったよね!?



「そんな顔してないもんっ」



ぷいっとそっぽを向けば、詩優の指が私の頬にぷにっと触れた。
つんつん、と突っつかれる頬。



…遊ばれてる。









っていうか、詩優のご飯温めなくちゃ。



「ご飯温めてくるから大人し───────……」



~♪



部屋へと鳴り響く着信音に言葉を遮られた。
『ご飯温めてくるから大人しく座って待ってて』って言いたかったのに。



また、詩優のスマホの着信音。
詩優は私の頭をぽんぽん、と優しく撫でたあと



「ごめん。電話してくる」



と言ってリビングを出ていく。











詩優は忙しいから仕方ない。
みんなの総長だもん。1番上に立つ人だから、頼られるのは当たり前。