世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




食べ終わると、奏太くんがすぐに立ち上がり、食器を持ってキッチンに向かっていく。

それから何かゴソゴソと音がして。



少しして戻ってきた奏太くんは私の猫のマグカップを持ってきて、それを無言で差し出す。



何かと思って受け取ると、マグカップの中からは湯気が立っていて。
美味しそうなお茶の香りが漂う。




…熱々のお茶?




も、もしかして……
私がさっき、お腹痛いって言ったから入れてくれたの?




「奏太くん、ありがとう…っ!」



お礼を言うと、奏太くんは無言のまま後ろを向いて、キッチンに行って食器を洗い始めた。









…奏太くんはさっき『便秘じゃねぇの』とか言ったくせに、なんだかんだで優しい。

食器洗いだって、毎日率先してやってくれる。1番面倒くさがりそうなのに、いつもさぼらずやってくれるから……いい子なんだよね。




私のことバカにすることもあるし、舌打ちすることもあるし、睨まれることもあるけど、それももう慣れた。