思い出すのは詩優のこと。 私が目を閉じる前に話した詩優は……私にあんまり構ってくれなかった。本当は構ってほしかったのに。私のことをもっと見てほしかったのに。 だから…… “冬樹くん” の名前を出せば少しは妬いてくれるかな、私のこともっと構ってくれるかな、って思ってたの。 本当はそばにいてくれるだけで嬉しかったんだよ。 頭を撫でてくれるだけで本当に嬉しかったの。 私が何度も“冬樹くん”って言うから怒ったの? 呆れたの? ……もう帰ってこないの?