たたたっ
と小走りで詩優の元へと向かって、2人並んで腰を下ろした。
「ほい」
詩優がひとつマグカップを手渡してくれる。
「ありがとう」とお礼を言って受け取ると、ココアの甘い香りが鼻腔をくすぐった。
熱そうなココアに、ふーふー息を吹きかけて冷ます。
ココアが入ったマグカップは、家具屋さんで買ったもの。私が白猫のマグカップで、詩優がダックスフンドのマグカップ。
少しずつ増えていくお揃いのものがすごく嬉しい。
スリッパだって、私が白猫で、詩優は黒猫のスリッパ。
詩優は自分で選んだくせに『俺には可愛すぎて似合わねぇ』とか言っていた。履いてくれないかと思ったけど、昨日から黒猫のスリッパを履いてくれたから安心。
お揃いのものを使って生活する、ってこんなに嬉しい気持ちになれるんだなぁ。
そう思いながらココアを一口、喉へと流し込む。



