「花莉、20センチ以上離れんの禁止って言ったよな?」




耳元で聞こえる声。

…確かに、さっき言っていたけど……




詩優の胸を必死に押していたら




「俺に心配かけたのはどこの小動物さんだっけなー」




そんな声が上から降ってきた。




「……っ」




…心配かけたのは確かに私だ……
しかも、命を助けてもらったと言っても過言ではない。




私は抵抗をやめて大人しく詩優に抱きしめられることにした。
仕方ない。今日1日、詩優から半径20センチ以上離れなければいいだけだから……頑張ろう。




っていうか、よく考えたら……
これってご褒美かも。トイレとかお風呂とを抜きにするとの話だけど。

詩優のすぐそばにいられるのは嬉しい











と思ったけど、のちに苦労することになる。

20センチって思ったよりも近くて、すぐに離れてしまっては詩優に注意されての繰り返し。幸いトイレやお風呂の時だけ離れるのは許されたけど……
それ以外はほぼ抱きしめられていたと思う。




詩優とのことがあるから、京子との恋バナはまた日を改めてになってしまったけど、今からとても楽しみだ。







花莉side.end