詩優の胸に顔を埋めて。
温かい体温を感じる。


そこで考えたこと。
いや、考えなくても分かるけど、本当にいつも私がピンチになると詩優が助けに来てくれる。



正義のヒーローだ。
今日だってどこからか突然現れて助けてくれた。



「詩優は正義のヒーローだね」



ふふっと笑うと詩優は



「お前だけのな」



と言って頭を撫でてくれる。
それがすごく嬉しくて気持ち悪いくらい笑っていた私。





「今日、なんで私があそこにいるってわかったの?」

「倫也が『2人がギャル追ってった』って言うから気になって、竜二と一緒に探してた。
そんで、自習室の前たまたま通ったら……花莉が落ちそうになってるとこで。まじで焦った」




…だから閉まっていたはずの自習室の鍵が開いていたんだ、と納得。

詩優から助けてもらった時のことを思い出して、背中をぺたぺたと触る。あの時…私を引き戻してくれた勢いで詩優は背中を思いっきりぶつけたのかもしれない。




確かにぶつかる音が聞こえたから…