「…恋のジンクス……」



ぽつり、と私が呟いた言葉に詩優は首を傾げる。




「…す、好きな人か、気になってる人のネクタイとボタンをもらうと…その人と幸せになれる……っていうジンクスがあるの。
だからね…詩優の物がなくなった時、絶対取り返さなくちゃって…、」




だんだん詩優と目を合わせていられなくなって、思わず俯いた。
言い終わってからも詩優からずっと見られているせいで視線が痛い。





も、もっと怒ったのかな……
どうしよう…なんか言わなくちゃ……




そう思った時に、詩優が大きなため気をついて。




「…ほんと、馬鹿花莉」




そう呟いた後に、ぽんぽんと優しく頭を撫でてくれた。




「ジンクスなんてほんとか嘘かもわかんねぇ誰かがつくったもん信じんなよ、アホ花莉。
俺のネクタイとボタンがとられたままでも、俺は花莉以外の誰かと幸せになるなんてありえねぇよ」