私は自分の手に握られているものを確認すると、ネクタイがひとつ。ボタンはひとつも掴めなかった…。



さっき、目の前の女性が言っていたことが確かなら…
今ここに落ちているのが竜二さんの物で、詩優の物は地面に……。





慌てて立ち上がると、詩優の手は離れて。




「私…、行ってくる……っ!!」




そう言ってから、ベランダから自習室へと入って。
私は走り出した。




どうか、全部見つかりますように




そう祈りながら、階段をおりて、中履きのまま昇降口から外へと飛び出す。