「…2人とも、無事か」



次に聞こえてきたのは竜二さんの声。
自習室からベランダへと続くドアから出てきて、ベランダへ。



目の前にいた高木さんと原田さんは涙目になって体を震わせる。




「京子、怪我は?」



竜二さんは京子に手を差し伸べて。



「……ない」



そう答えた京子を見て、悲しそうな表情を浮かべた。




「…擦りむいてる」




それからそう小さく呟いた竜二さんは、京子の肩と足に手を回して。
ひょいっと抱きかかえた。




「ちょっ、り、竜二!?」




竜二さんの腕の中で戸惑う京子。




「…詩優。京子を保健室まで連れていくからあとは頼む」


「ちょっ、まっ…!!まだネクタイもボタンも拾ってな…っ…!!」





「…ネクタイとボタン?」


「そ、そう!ネクタイと…ぼ、ボタン…!!!」




京子は顔を真っ赤にして、ベランダに落ちているネクタイとボタンを指さす。