世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





その時───



ガラッ!と大きな音が聞こえて、それからすぐに
私のお腹あたりに回ってきた大きな手。
ぐいっと強い力で引き戻され、手すりをつかんでいた手が離れた。




引き戻された勢いで、どんっ!と何かにぶつかる音が聞こえたけど、私には少しも痛みはない。



私を包み込むのは、温かい
…体温?








「花莉!!無事か!?」



すぐ近くで聞こえてくるのは、大好きな人の声。
ゆっくり目を開けると……








私のうしろには詩優がいた。

2人ともベランダに座り込んでいて。
今、助けてくれたのは……詩優なんだとすぐにわかった。




心配そうに私を見つめる詩優にこくりと頷くと、すぐに安心した表情に変わる。




それからすぐにぎゅっと抱きしめられた。
後ろから、強く……。










「…馬鹿花莉」



そう弱々しく呟く声が耳に届く。

…私、今……詩優が引き戻してくれなかったら……今頃ベランダから落ちてた……



そう考えると怖くて、体が小刻みに震え出す。