「クリスマス、ここ行こうぜ。まぁ、俺らの初デートだな」
「え?」
叶斗が差し出して来たのは、クリスマスまでやっているイルミネーション会場のチケット。
本当に、クリスマスにデートするカップルのために作られたようなイベントだ。
ここに、私と叶斗が?
「ダメか?」
チケットをじっと見て固まる私に、叶斗は不安そうに聞いてきた。
「ううん、ダメじゃないよ!行きたい!」
ずっと思っていた。
いつかこういう所に行けたら良いなって。
叶斗を好きになってからは、叶斗と行けたら良いなって。
それが、こんなに簡単に叶っちゃうなんて思わなかったよ。
「よし、決定だな。当日六時に迎えに行くから」
「え!?」
む、迎えに来るの?
てっきり駅で待ち合わせかと思っていたのに、当然のように言う叶斗に絶句してしまった。
「当たり前だろ。デートに男が女を迎えに行くのは」
そう、なのかな。
私も迎えに来てくれるのなら、正直嬉しいけど。
でも、その分叶斗は早く出なくちゃいけないよね?
大変じゃないのかな。
「早く会いたいんだよ。多分、待ち合わせしたら時間まで待ってられなくてすっげぇ早い時間に行くから」
ドキッ
叶斗ってば、すぐそういうこと言うんだから。
でも、嬉しい。
「分かった。じゃあ、それまでに用意しておくね」
「おう」
こんな些細な会話だけでも楽しいって思えるのは、きっと叶斗のことが大好きだから。
空き教室で出会ったのが、叶斗で良かったな。
当日、何着て行こうかな。
まだクリスマスまで 二週間もあるのに、そんなことを考えていた。
だって、初デートだもん。
クリスマスに初デートなんて、なんてロマンチックなんだろう。
幸せを噛みしめながらお弁当を食べた。
クリスマス当日、楽しめますように。