「先生、すっきりしました
ありがとうございました」

「んじゃ、教室戻れ」

男子生徒が明るい笑顔で
保健室を出て行った

いつの間にか
保健室は
病人の休み場所ではなく

相談室へと変化しつつあった

別に
相談にのりたくて
のっているわけじゃないが・・・

話をしてくるから
話を聞く

俺からの返事を待っているから
何か言う

それを繰り返しているうちに
俺のところへ
やってくる生徒が増えた

進路
友人との関係

恋人
好きな人
その他諸々の相談がくる

進路や友人
親なんかは担任に話せばいいのに

と思うが
そうもいかない事情があるのだろうか?

「先生
いいですか?」

保健室のドアを開けてくる生徒がいた

顔をあげると
杉田圭吾が保健室に入ろうとしていた

3年生で
スミレと付き合っている男だ

好青年で
他の女子にも人気があると聞く

女子生徒で杉田が好きだと
相談にきていた子もいた

「飯
食いながらでもいいか?」

「ええ
まだなんですか?」

「さっきまで
もう一人
相談相手がいたからな」

杉田は丸椅子に座ると
俺の顔を見た

「やっぱり
小泉先生は
格好いいな~」

「は?」

コンビニのおにぎりを出す俺は
机の引出しを開けたまま

杉田の顔を見た