ササッと描いて終わらせてやる!




そう思って、手に鉛筆を持ち、早速描き始めようとしたその時、福智の後ろからひょっこり現れた女の子。




この子確か·····さっき福智の周りにいた女の子の1人。




「え〜眞皇、椎名さん書くの?」

「ペアになったからね〜」

「あたしとペアんなろうよ〜」

「もう決まっちゃってるでしょ」

「え〜。椎名さん、いいよね?」




なるほど、そういうことか。




福智に自分を描いて欲しくてペアの交換に来たのね。




めんどくさいのはごめんだから、交代してもいいけど。




「いい?椎名さん」

「あ、もちろんいいで、」

「ダメだよ〜」




は!?




福智のその言葉に、私の目は丸くなり、その女の子の目は冷たくなった。




そして矛先は当然私の方へ。




睨むなら私じゃなくて福智を睨んでよ!




なんてことは、優等生キャラを演じている私には言えなくて。




「福智くん、何を言ってるんですか?ぜひ交代しましょう」

「椎名さんこそ何言ってるの?あー、ごめんね。俺椎名さんのこと描きたいから」

「なっ!?」

「ほら座って。時間なくなる」




福智の手によって座らされた私。