《廉》




まずいことになった。




父が、瀬王さんとの結婚の準備を着々と進めてしまっている。




母もなんだかノリノリで、最近は初孫が〜とかなんとか騒いでしまっている·····。




これは、うかうかしてられない。




瀬王さんの誕生日が来る前に、私がなんとかしないと·····。




「ちょっと廉!」

「へっ?」

「あたしら友達なんじゃないの!?」

「えっと·····りっちゃんと私は友達だよ?」

「じゃあなんで言ってくんなかったの!?」




福智と付き合ってるって!·····って。




なんであいつ、先に言っちゃうの!?




タイミング見計らって、私から言うつもりだったのに!!




「それはね·····」




敬語も使わなくていいくらい仲良くなった初めてのお友達。




ちゃんと報告したかったの。




教室ではなかなか言いづらくて、屋上にりっちゃんを連れ出した。




そしてしっかり目を見て告げれば、ギュッてハグされた·····。




「おめでとう!」

「ありがとう、りっちゃん」

「福智の押しに負けた?」

「それがね、案外私の方がハマってるのかも」

「へ〜!廉もそうなるんだ」




自分でも不思議なくらい、福智のこと考えてる。