その顔、もっと見せて?

せめて、私が高校を卒業するまで待ってくれるものとばかり思って·····。




私のタイムリミットは、思った以上に早く進むようで。




真っ先に、脳裏に浮かんできたのは、福智のことだった。




本当は、福智に婚約者の存在を言うつもりはなかった。




けれど、話すべきだと思った。




福智のことを、好きになってしまったから。




ヘラッてして能天気で、強引で馬鹿で·····。




·····ほんとに馬鹿なのは、私なんだろうけど。




婚約者がいると口に出して、私は恋をする権利がないと自分に言い聞かせた。




福智と付き合うことは一生ない。




私に婚約者がいる限り·····私たちはどうこうなるなんてことはないの。




「·····すみません。今日は疲れたので、部屋で休みます」

「あぁ。また段取りはこちらで決めておくから」

「·····はい」




おやすみなさい、と両親に告げてリビングを出た。




部屋でしばらく休んでいると、家政婦さんがお風呂の準備ができたと伝えに来てくれた。




「休まれているところ失礼します」

「·····ねぇ、紫〈ユカリ〉さん」

「はい?」

「紫さんは旦那さんがいるのよね?」

「はい」

「子供も2人いて·····まだ小さくて」

「それが、どうかされましたか?廉さん」

「恋愛結婚·····ですか?」




頷く紫さんを見て、無性に羨ましさが込み上げた。