《廉》




カタカタと、金属が触れる音が響き渡る。




無駄な会話はしない。




おいしい食事を食べてるはずなのに、全然楽しくないし。




福智と行った遊園地の方が断然楽しかった。




「昨日は急に予定をキャンセルしてごめんなさい」

「家の都合なら仕方ねぇんじゃねーの?」

「·····ごめんなさい」

「はー食事まずくなるからそれやめろ」

「·····はい」




月に一度の食事会。




父が勝手に決めた婚約者と名乗る相手と顔を合わせる日。




それが、今月は昨日だった。




タイミング悪く誘われた遊園地。




内心は行きたくて仕方なくて。




でも父の言いつけで、食事会を断ることはできなくて·····。




直接電話をして、なんとか今日に変えてもらった。




「そのドレスの色似合わねぇな。誰だよ選んだの」

「うちの家政婦です」

「後で俺が選ぶ。それを着ろ」

「·····はい」

「前回あげたネックレスはどうした?着けてこいって言っただろ」

「汚したくなくて·····家に保管してあります」




息が詰まりそうだ。