廉ちゃんのはじめて笑った顔は、悲しそうで切なくて。




ただ好きな気持ちだけあればいいと思ってた。




隣にいれることが幸せで、ずっと隣にいてほしいって思った。




廉ちゃんが抱えていたものは、想像を遥かに超えていて。




「今日は楽しかった。ありがとうね、福智」

「あ、うん·····」

「学校で気まずかったらごめんね。まぁ、私のせいなんだけど」

「·····」

「じゃあ、行くね」




なにも、言えなかった。




廉ちゃんの遠くなっていく背中をただ見つめる。




心に穴が空いたみたいだ。




何もかも終わったみたい。




このまま、はじめの頃の関係に戻ってしまう?




俺はまだ、廉ちゃんのことが好きなのに。




この気持ちが消える気配もない。




「·····きついな」




心がきしむ、音がした。