《眞皇》



たぶん、もう好きになってるんだと思う。




怒ってる椎名さんも、冷たい椎名さんも含めて。




どんな椎名さんも可愛いって思ってしまっているんだから。




「·····こんなダサい格好のどこが可愛いのよ」

「可愛いよ。どんな椎名さんも可愛い」

「福智の目、おかしい」

「ね、もう廉ちゃんって呼んでいいよね?」

「さっきから呼んでたじゃない」




嫌って言いつつも、俺のことを受け入れ始めてる廉ちゃんが心底愛しくて。




廉ちゃんは気づいてないだろうけど。




照れた時に、ほっぺがほんのり赤く染るってこと。




それがまた無性に可愛くて、抱きしめたくなる衝動に駆られる·····。




「男のくせにこういうことできるの、ムカつくわね」

「あれ〜?キュンとした?」

「全然まったく」

「うち妹いるから。こういうの慣れてるんだよん」

「あ、そう」

「え、ちょっと廉ちゃん待って!もう行くの!?」




これも拗ねてるの?




こっちに振り向かせて、その顔が見たい。




いろんな顔をする廉ちゃんが見たい。