その顔、もっと見せて?

見上げると、そこには男の店員さんがいて。




どうやら、化粧品の試供品を配っているようで。




「新発売の下地です。ぜひ試してみてください」

「あ·····ありがとうございます」

「失礼ですが、どこかで僕たち会ったことありますか?」

「えっと·····」

「人違いかな。すみません、引き止めてしまって」




律儀に頭を下げる店員さん。




顔を合わせた覚えは特になく、私も軽くお辞儀をして、その場を離れた。




その後、眞皇の元へ急ぎ合流。




「お待たせ」

「全然待ってないよ〜」

「そう?ならいいんだけど」

「廉ちゃん、この軽い方の袋持てる?」

「うん」

「じゃあお互い片手空くから、手繋ご〜」

「外暑いから嫌よ」




なんて断っても、右手はもう既に眞皇の左手に重ねられている。