そろそろ花火の始まる時間。




いちご飴を頬張る廉ちゃんをニコニコして見ていると、花火開始を知らせるアナウンスが聞こえてきた。




「まだ食べ終わってない·····」

「ゆっくり食べなさい〜」

「写真撮りたいの」

「花火は30分あるし、焦らなくていいよ」

「そんなにあるの?」

「県内最大だからね」

「だからこんなに人が·····」




どうやら何も知らなかったらしい廉ちゃんは、ただ驚いていて。




一発目の花火が打ち上がった音で、さらに驚いた。




「わぁ·····」

「ふっ·····」

「な、なによっ·····」

「いや、可愛いなって」

「もう、見ないでよ·····」

「その顔もっと見たいからダメ」




不服そうな顔してもムダです。




俺は花火より廉ちゃん。