その顔、もっと見せて?

《眞皇》




廉ちゃんと約束したからには、男である以上守らなければならない。




「ももも、行くったら行く!」

「だから、俺は廉ちゃんと2人で行く約束しちゃったんだって」

「りんごあめ食べたい!わたあめ食べたい!」

「買ってくるじゃん·····」

「眞皇くんと食べたいの!」




ただいま、このワガママ娘と口論中。




一時は諦めると言って食い下がったはずのもも。




その期限は約1日で、明日何してると聞かれて夏祭りに行くと言ったらこれだ·····。




一緒に行くの一点張り。




俺は廉ちゃんと2人で行く約束をしてしまったので、そのお願いは聞けそうにないんだ。




「今回は諦めて、家でお留守番な。それか、おばあちゃんと行ってあげな、孫なんだから」

「そんなの眞皇くんだって孫じゃん!」

「眞皇くんは先約があるんだって·····」

「いーや!ももだって眞皇くんと回りたい!」

「いいかげんに·····、」




その時ガチャッと耳に届いたリビングの扉が開く音。




そして入ってきたのは、部活終わりの琉衣。