その顔、もっと見せて?

どんな絵なのかな·····。




俺のことどんだけブサイクに描いたんだろ。




気になってる。




彼女のことが。




どうして屋上にいたのか、どうしてそんな格好をしているのか。




ただの地味で頭のいい隣の席の女の子だったのにな。




椎名さんの新たな一面を知っていくのが楽しい。




「できた?」

「あと少しです」

「俺もう完成したよ〜見る?」

「動かないでください」

「はーい」




女関係に困ったことはない。




正直、チヤホヤされることは嫌いじゃないし、むしろいい気分になる。




教室のほとんどの女子が俺の周りに定期的に集まってくる中で、椎名さんは1度も靡いたことなかった。




それに時々席を立って、次の授業が始まるギリギリまでいないことがあった。




たぶん、初めから椎名さんのことは気になっていたんだと思う。




じゃなきゃ、あんな屋上までついて行って、給水タンクに隠れることしない。




ま、おかげで椎名さんの裏の顔を見れたわけだけど。




「できた·····」

「あ、完成?見せて〜」

「え、嫌です」

「そう言わず」

「嫌と言ったら嫌です」




頑固者·····。