その顔、もっと見せて?

《眞皇》




目を伏せた顔は美人だと思う。




メガネの奥にある長いまつ毛に、色素の薄い瞳。




うまく隠してきたんだろうな。




地味な椎名さんが、こんなにも美人だなんて知ったら、周りの男が黙ってないよ。




もちろん俺だって男だからね。




当然のごとく、めちゃくちゃ気になってる。




「途中経過、見せてよ」

「絶対無理です」

「まさか、絵苦手とか?」

「·····そんなことはないです」

「何その間」

「気にしないでいただけますか?」




優等生と評されている椎名さん。




理事長を父に持つ彼女は、秀才でスポーツもできるらしく、ほんとになんでもできる。




苦手なものなんてないと思うけど·····。




生徒一人一人の様子を見て回る先生は、椎名さんの絵を見て斬新だと言っていた。




多分、絵は下手なんだと思う。




「もう少し、相手の人の特徴を捉えてみてくださいね」

「はい·····」




彼女のその不器用な一面に、思わず笑いかけたのを抑える。