中から、入りなさいと父の声が聞こえてドアを開ける。




相変わらず威厳のある顔でこちらを見る父に、福智の緊張は最高潮に達しているだろう。




福智の手をにぎって父の前に座ると、先に口を開いたのは、福智ではなく父だった。




「はじめまして、廉の父です」

「あ、福智眞皇です。はじめまして·····」

「こんな顔してるが怒っているわけではないことを先に言っておく」

「あ、はい·····」

「娘と付き合っているのか」

「·····はい。お付き合いをさせていただいています」




怒ってるわけじゃないなら、手を組んで威張ったふうにしないでよ·····。




怖がる福智に父は次から次へと質問攻め。




私も助けれるところは助ける。




「付き合うことに反対をしているわけではないのだがな·····」

「はい·····」

「昔、少々あったもんだから、私もこれに関しては心を鬼にしなければと思っているんだ」

「昔·····?」

「廉から聞いてないのか」

「お父さん·····!それはっ」




まだ福智には言っちゃダメっ!