《廉》




朝の目覚めは悪くはなかった。




緊張して眠れないかと思ったけど、ぐっすり寝れたし。




起きたら母が手の込んだ料理をしていた。




「張り切ってるね」

「当たり前よ〜!今日は紫さんもお休みでいないし、朝早くに起きて頑張ってるのよ」

「うん、おいしそう」

「ほんと!?あ、棚からクッキー出してくれる?眞皇くんは、甘いもの好きかしら?」

「うん、大好き」

「それはよかった!ほら、廉ちゃんも早く支度して手伝ってちょうだい!」




コクリ頷いて、私は洗面所へ向かった。




とりあえず、母は快く福智を受け入れてくれてるみたいで安心。




私の話を聞く限り、いい人そうだと思ってくれてるみたい。




1人でも味方がいてくれてることに、私は救われてる。




後は父が受け入れてくれるかどうか·····。




身支度をしている間、父もすでに起きていたらしく、リビングで新聞を読んでいた。




そこへ温かいお茶の入った湯呑みを持っていくと、父の視線は新聞紙から私へ移った。




「廉」

「はい」

「私はまだ心配してる」

「·····はい」

「彼が、廉にふさわしくないと思えば、別れを選んでもらうからな」

「·····はい、わかってます」

「·····いい人、なのか」

「私にはもったいないくらいだと思ってます」




認めてほしい、そう心から思うほど。