女の子は諦めて自分の席に戻って言ったけれど、恨まれたのは確実。




私は福智を、恨む。




そして小声で追求。




「あの子のこと描けばいいじゃない!」

「言ったでしょ。椎名さんのこと描きたいって」

「地味な私のこと描いたって楽しくもなんでもないでしょ!」

「椎名さん、美人じゃん」

「はぁ!?」

「描きごたえあるよ」




それは、屋上で見た私の容姿がでしょ·····?




今ここに座っている私は、いつも通りの地味な私なのに。




福智がよくわからない。




そんな福智に、忘れたと言っていた鉛筆を渡す。




とりあえず私もこいつを描かなければならない。




白い画用紙と福智の顔を交互に見て描き始める。




目、鼻、口、髪の毛、輪郭·····。




えっと·····福智って、顔整いすぎてない?




これは、女の子が好きそうな顔立ち·····。




「手、止まってるよ」

「へっ!?」

「俺の顔、そんなにいい?」

「描きにくい顔してるなと思っていただけです」

「素直じゃないな〜」

「口閉じてください」




その口縫いたい。




何を言い出すかわからないんだから·····。




早く描き終えて、いい加減こいつから解放させて·····。