美竜は呆然として動かない旬たちを見た後、自分のスマホから警察に電話をした。

すぐに警官が駆けつけてくれたものの、旬たちは目の前にある珠美を前に動くことすらできなかった。突然苦しみだし、命が目の前で消えたのだ。

珠美の周りには、他の生徒たちも集まっていた。みんなが、「え?何があったの?」と首を傾げている。まだ珠美が死んでいるとは知らないようだ。

誰もがショックを受けている中、警察に美竜が話し出す。

「亡くなったのは、伊坂珠美さん。年齢は二十九歳でこの自動車学校の教官。急に苦しみだし、チューリップの入った花瓶を割って死亡。死因は、アーモンドの香りがするのでおそらく青酸カリによるもの。しかし、こんな人が大勢いるところで自殺はおかしいので殺人と考えるのが妥当かと」

ペラペラと落ち着いて話す美竜は、いつもの問題児ではないと旬はわかる。大人よりも落ち着いていることに驚きが隠せなかった。

「とりあえず、死因等は調べます。一人ずつ現場に居合わせた方は事情聴取をしますので」