「せめてここはもうちょっと成長させろよ?」



なんて呑気なことを言いながら、ごく自然に伸ばされた腕で、わたしの体を───胸を触ってる!


下着をつけてないから、直接伝わる手の感触。


突然すぎて抵抗もできない。



「まあ、形はいいな」



褒められたけど、パニック寸前。


なんで面識のない男に胸を触られてるの?


頭がこんがらがって、男から離れたくて、渾身(こんしん)の力を込めて突き飛ばした。



「いって……」



きっとこの人は、わたしを風俗かどこかに売るつもりなんだ。


今は優しい振りをして騙して、後で弱みにつけ込んで裏切る。


それがヤクザの常套(じょうとう)手段。


危険なこの男から一刻も早く逃げようと立ち上がったけど、途端に貧血に襲われた。


余儀なくフラフラと倒れこんでしまい───



「……何やってんだお前」



抱き起こされ、結局振り出しに戻るのだった。