それから望月を乗せた車は西へ出発した。


その後、駆けつけた涼やお母さんと抱きしめ合い、荒瀬組の人に歓迎され、帰ってきたんだと強く感じた。


だけど涼もお母さんも泣いて喜んでくれたのに、わたしは涙のひとつも流せなくて。


それが苦しくってゆっくりさせてほしいと告げ、この1ヶ月間ずっと籠りっぱなしだったという志勇の部屋に来た。


ここだと志勇のにおいがするから落ち着く。





「どうした」

「……申し訳ないなって。せっかくお母さんも涼も泣いて喜んでくれたのに、ろくな反応できなかった」



2人掛けのソファに並んで座って、わたしはポツリと呟いた。



「あのね、また笑うのが苦手になったみたい」

「……」

「涙も出ないの。きっと、志勇と離れた1ヶ月間のショックが大きかったんだろうなって。
本当に、わたしって志勇がいないとダメ人間になっちゃうね」


「……泣きたいなら今すぐにでも泣かせてやるよ。
ベッドの上に場所替えするか?」

「最低」



ただし、ツッコミのスキルは西にいた間に磨かれたようだ。