カチ、カチ、一定した何かの機械音が頭に響く。


赤い残像は消えて、わたしは暗闇を歩いていた。


暗闇の中をどんなに歩いても光は見えてこない。


ただ、カチカチと音が辺りに響いていくだけ。



『……壱華』



誰かの声がする。手のひらにぬくもりを感じる。


そこにいるのは志勇なの?


だけど、違うと思った。声も、私の手を握るぬくもりも、志勇のものじゃない。



「あ……うっ」



違和感に覚えて、わたしは無理やり目を開けた。


どうやら眠っていたようだ。見たことのない天井の(はり)が視界に飛び込んできた。


ここがどこなのか、全く状況が掴めない。









「お目覚めか、シンデレラ」