……こんな失態をいくら悔やんでも時間は永久に戻らない。


だからこそ変わることを決めた。



染めていた髪を黒に戻し、外面からも決意表明をした。


あやふやにしていた家業を継ぐことについて明確にし、潮崎の若頭候補に襲名することを誓った。


この道で生きていれば、近い将来壱華に出会えると思っていた。


そうすれば壱華に真実を伝え、壱華を救出できる。



しかし、今日この日。


それが実に浅はかな考えだと思い知らされた。


壱華の傷は深く根深く、たった4ヶ月では癒えていなかった。自分の放った言葉の重さを痛感した。



そして帝王の執着、あれは本物だ。


『北と西の帝』が求める女を所有していながら『有効活用』をしていないのだから、あの男は本当に壱華を——愛しているのか。


そう思うとなぜ胸が痛み出す。掻き乱されるこの感情なんだ。


この感情を知った時、俺は最大の過ちを犯す。





俺は、壱華に特別な感情を抱いてしまっているのだ。


俺は壱華を——









好きだと、気づいてしまった。