「一緒に見る?」

 声をかけてくれたのは、藍さんだ。

「はい」

 二階席から、リンクを見下ろす。

「今日はコートを区切ってやるの。60メートルのフルサイズじゃなくて横30メートルを使って3on3するんだけど――」

 そのときわたしが捉えたのは、広いリンクの上をスティック片手に自由自在に滑る、当麻氷河の姿だった。

 なんてスピードなの。

「……速い」
「目まぐるしいでしょ? 最初は酔うかも」
「あの、パックってやつは。浮くんですね」
「そうだよ。氷上を滑らせるだけじゃなくて、浮かせられる。ゴールは小さいけど、そのどこも狙える」

 すごい、すごい、すごい。

「後ろ向きに滑ってる」
「バックスケートが圧倒的に上手いのは。期待の一年生、氷河」

 そういうと、藍さんはビデオカメラをかまえた。