「ああっ……」

 イガラシさんの鉄壁が、

「崩されましたね」

 打ち破られた。

 先制点を獲ったのは、相手チーム。

「向こうのレギュラーは2人。残りはベンチに普段入らないメンツ」

 それでもこの強さ。

 さすが、全国レベル。

 だけどイガラシさんのセーブ率は驚異的だ。

 30本打たれて奪われたゴールは僅か1点。

 つまりセーブ率は96.6%――相手が焦るのも無理はない。

 調子をつけてきた相手に呑み込まれてはいけない。

 どうにかして空気を変えたい。

 反撃したい。

「本場で学んだ選手に。対抗できるのは――」
「帰国子女なら。こちらにもいますよ」