また、わたしの前から、いなくなるの?

「頼む」
「……なんでそんなこと言うの」
「なに泣きそうになってんだよ。そんなに僕とキスしたくないか?」
「会えなくなるのがイヤなんだよ……!」
「キスはイヤじゃない?」
「そ、そういう意味じゃなくて――」
「本気になられちゃ困るのは纐纈だろ」
「……チサト」

 わたしの前髪をかき分けると、

 そっとおでこに唇をあてられる。

「サヨナラ」

 もう、会えないの?

 これが最後?

「おい」

 突然現れて
 チサトをわたしから引き離したのは、

「俺のツレに。なにしてる」

 イガラシさんだった。