「アイスホッケー部のやつ?」
「……離して、チサト」
「そうなんだろ」
「うん」
「別れて」
「い、イヤだ」
「そいつ――軽く脅してきてもいい?」
「なに言ってるの……!?」
「ちょっと揺さぶりをかけるだけだ。纐纈にふさわしい男か見てみたい」

 わたしに……ふさわしいか?

「どんな男?」
「……他人への興味、基本的に薄くて。無愛想なんだけど、氷の上ではめちゃくちゃ熱くて。仲間思いで。アイスホッケーのことになるとビックリするくらい饒舌でさ。ぜんぶ、好きなんだよね。ちゃんとわたしのことも想ってくれてる」

 こんな話をしてしまうと、余計に気づかされる。

 わたしは当麻氷河が好きなんだって。

「ふさわしい、なんて。よくわからないけど。わたしがアイツを必要としてる」